あなたが欲しいと思うものを、あなたはなぜ欲しいのか?
序章 社会的重力
ルネ・ジラール
〜 「社会科学の新しいダーウィン」と呼ばれる思想家 〜
私たちが欲しがるもののほとんどは、模倣によるものであって、内存するものではないとした。人間は ー真似ることを通してー ほかの人が欲しがるものと同じものを欲しがる。
真似は、社会において人々が公に認める以上に大きな役割を果たしている。一方、真似は私たちを欲望と競争の循環に閉じ込める。
模倣理論
自分の過去について新たな学びを得ること。自分のアイデンティティがどのように形成されたのか、なぜある人やモノから特に強い影響を受けたのか。
欲望は自発的に生まれるものでも、本物の内なる欲望から生まれるものでも、無作為に生まれるものでもない。誰かの真似を通して、すなわち秘密のモデルを通して生まれるのである。
モデルは欲望に値するものを示してくれる人やモノである。私たちの欲望を形づくるのは、「客観的な」分析でも中枢神経系でもなく、モデルなのだ。また、模倣の欲望は、暴力・特に犠牲という考えに密接に関係する。
欲求
食欲・性欲、身の安全を求める気持ちで、欲望とは異なる。欲求に真似は関係ない。
人類が進化するにつれて、生存に関心を持つ時間が減り、ものを求める時間が増えた。つまり、欲求の世界で過ごす時間が減り、欲望の世界で過ごす時間が増えたのである。
ピーター・ディール
〜 PayPal、Open AI等の共同創業者。Meta最初期投資家 〜
模倣理論の知識をビジネスと人生の両方に活用した。ディールは模倣を投資判断にも活かした。フェイスブックはアイデンティティ、つまり欲望を中心に構築されていた。他の人が何を持っていて、何を欲しているか把握できる。モデルを見つけ、追いかけ、自分との違いを認識するプラットフォームである。50万ドルの投資は最終的には10億ドルになった。
欲望の二つの異なる動き
一つ目のサイクル
緊張、摩擦、変動につながり、競争する欲望が激しくぶつかり合い、人間関係を壊し、不安定と混乱をもたらす。
二つ目のサイクル
共通の利益を目指して、エネルギーを創造的で生産的な追求に向ける別のサイクルをつくる。
1 ) 模倣は崇高な野心を乗っとる可能性がある。
崇高な目標ー友情を育む、大義のために戦う、健全なコミュニティをつくるーを台無しにする。
2 ) 均質化する力は欲望を危機にさらす。
人は似れば似るほど、相手を脅威に感じる。技術の発展により世界が近くなったとき(Facebookが使命に掲げている)、欲望も近くなり、摩擦も大きくなる。
3 ) 持続可能性は欲望の対象になるかどうかにかかっている。
正しくて良いことは魅力的、つまり欲望の対象でなければならない。
4 ) 欲望について前向きな出口を見つなければ、破滅的な出口を見つけてしまう。
人々は異なるものが欲しいから戦うのではない。模倣の欲望によって同じものが欲しくなるから戦うのである。人間は戦えば戦うほどお互いに似てくる。
出会いの一つ一つが、双方の欲望を強めたり、弱めたり、もしくは欲望を別のものに向けさせたりする。模倣の欲望は人間性の一部である。自分が何を真似ているか、そしてどのように真似ているか。
パート1 模倣の欲望の力
第1章 隠れたモデル
私たちの心の奥底には、何かを欲しいと思わせる人やモノがある。欲望にはモデルが欠かせない。その人が欲していると言うだけの理由で、そのモノに価値を与える人である。ブランドも学校もレストランのメニューも、人の目を通して選んでいる。
私たちはすぐに手に入るものや手の届きそうなものを欲しいと思わない。申し分のないモデルによって魅力的に見せられたとき、私たちはひきつけられる。欲望の世界はモデルによって大きくも小さくもなる。
模倣が金融市場に与える影響や、隠れたモデルを特定することが株の動きやバブルの人間性を理解するのに役立つ。
エドワード・バーネイズ
オーストリア生まれのユダヤ人で、人間の本質を鋭く見抜き、人々を目標に駆りたてる天性の才能があった。人の主義主張と商品や娯楽を深いところで結びつけ、大きなチャンスを待つ。広告活動で多くの成功を収めた。豚肉の販売会社に雇われたときには、ベーコン・エッグを朝食の定番にした。医者が「専門家」モデルで、ベーコンと卵の朝食が健康に良いというメッセージに賛同してもらった。
主要な新聞に、イースターパレードでタバコを吸う女性の写真を一面に載せ、女性のタバコはタブーという差別を砕いた。イースターの後、ラッキーストライクの売上は三倍になった。
模倣の欲望に対処するコツ 1⇨モデルをはっきりさせる。
私たちがモデルに惹きつけられるのは、手の届かないところにあるそれ〜愛情を含む〜が欲するに値するものだと示してくれるからだ。
市場を動かすモデル
欲望はデータと相関しない。バブルの時もバブルがはじける時もモデルの勢いは加速する。欲望があっという間に広がるので、合理的に考える脳では追いつかない。バブルは合理的でも非合理的でもない。それは極めて人間的なものだ。
第2章 ゆがめられた現実
ジョブズが人を魅了したのは、彼が人とは違う形で欲したからだ。私たちは人の魅力は客観的な性質〜話し方、知性、粘り強さ、機知、自信など〜がもたらすと考えがちだ。しかし、それ以上に大きく、欲望との間に異なる関係(現実の関係あるいは認識された関係)を築いている人に惹かれる。他人が欲しがっているものを気にしないように見える人、同じものを欲しがらない人だ。なぜなら、ほとんどの人がそうでないから。
私たちに影響を与える二種類のモデル
アリストテレスは、人間には高度な真似る力があり、そのおかげで新しいものを生み出すことができると理解した。真似ることができるから、私たちには言語・レシピ・音楽がある。
しかし、ほとんどの組織は真似ることを推奨すると同時に否定するように見える。
1 ) 自分の世界の外にいるモデル:欲望の外的媒介者
社会的に遠いところにいる人たち(セレブ、架空の人物、歴史上の人物、上司)。モデルの存在に特別な価値がある。彼らの欲望が私の欲望と交わることはない。時間、空間、金銭、地位において十分に距離がある場合には、同じ機会をめぐって真剣に競争することはない。自由に公然と彼らを真似る。
2 ) 自分の世界の内にいるモデル:欲望の内的媒介者
近くにいる人たち(同僚、友人、SNSで交流のある人、近所の人)
私たちは自分と同じものを欲しがる人にはより脅威を感じる。競争は近さに比例する。密接に関係し、言葉にしない競争意識が溢れている。他人の言葉や行動や欲望にいとも簡単に影響される。
現実のゆがみ
ゆがみ 1 乗っとられる称賛
人々は自分のモデルの素晴らしさを常に過大に受けとめる。有名人、セレブであっても友人、隣人であっても、それは変わらない。特定のものではなく、新しい生き方やあり方を求めて奮闘することを「形而上的欲望(metaphysical desire)」と呼ぶ。
ジラールは、すべての真の欲望〜本能的なものの後にくるもの〜は形而上であるとした。人間は常に物質の世界を超えた何かを求めている。
ゆがみ 2 専門家信仰
専門家がモデルとして好まれている。権威は私たちが思うより模倣的だ。権威の背景にある模倣の層を解体し、自分が知識の源をどう選択しているか真剣に考えてみるといい。モデルがペテン師であるかもしれない。
模倣の欲望に対処するコツ 2⇨模倣に逆らう知識の源を探す
人々が見つける「専門家」の専門性は主に模倣的に認定されたものだ。模倣をはねのけて、模倣の影響が少ない知識の源を探すことが重要だ。自称専門家や世間が専門家だという人には気をつけよう。
ゆがみ 3 再帰性
投資家が暴落するかもしれないと思えば、彼らは暴落を引き寄せるように行動する。人は何かを言う前に、他の人がどう思うだろうと考える。そして、それは言うことに影響する。人は無意識のうちに自分の意見がどのくらい受け入れられるかを認識し発言する。
再帰性の原則:欲望を持った参加者が互いに交流する可能性がある状況では、参加者の欲望の間には双方向の相互作用が存在する。
模倣の欲望に対処するコツ 3⇨不健全なモデルとの境界をつくる
不健全なモデルがあなたにおよぼす力から距離を置くことが肝要だ。追いかけるのをやめよう。
ソーシャル・メディエーション
ソーシャルメディアは単なるメディアではない。大勢の人が、何を欲したらいいかを示し、それらの認識を彩ってくれる。テクノロジーのなかの中毒性のあるデザインの危険性が指摘される。模倣の欲望はソーシャルメディアの真の原動力だ。
第3章 社会的汚染 〜欲望のサイクル〜
人が闘う理由をシェークスピアは、人々は似ているから闘うと言った。
模倣の衝突は伝染する。欲望は情報のように拡散せず、エネルギーのように広まる。人々の近さや類似性が模倣の欲望のリスクを高める。
模倣の欲望に対処するコツ 4⇨イノベーションを起こすためのイミテーションを利用する
歴史上の創造的な天才の中には、正しいモデルを真似ることから始めた物もいる。模倣すべき時を知ろう。ランボルギーニのエンジニアたちの多くはフェラーリから引き抜かれた。レースでフェラーリと直接対決をしたいと願ったが、ランボルギーニ社は許可しなかった。模倣の競争はどちらかが競争から抜け出さなければ終わらない。競争はある地点までは有益なものになりうる。問題はその地点を知ることと、そこで方向転換するための手段を持つことだ。
内なる輪
ほとんどの人は幸せを他の人との比較で判断する。
人生のどの段階にいようと、どれだけ裕福であろうと、人気があろうと、ある特定の輪の中にいたいという欲望と、そこから外れることの恐怖が常にあることを意味する。
価値のヒエラルキー
優れたリーダーは自分の決断が人間の生態系〜人間の生活や発展に影響を与える絡みあった関係〜にどのような変化をもたらすか考える必要がある。人間の生態系の中で模倣の欲望ほど見落とされるものはない。
リーダーは、経済的なインセンティブは常に経済以上の意味を持つことも意識しなければならない。その人の価値のヒエラルキーがどのようなものか考えなければならない。価値観と欲望は同じものではない。
模倣の欲望に対処するコツ 5⇨価値のヒエラルキーをはっきりさせて伝える
価値のヒエラルキーは模倣の対抗手段になる。明確な価値の順位が定められていない企業が多く、企業の社会的責任が模倣に乗っとられ、貧弱なマーケティングの仕掛けになっているケースが多い。価値の中には絶対的なものがある。それを知り、守ろう。
第4章 罪の発明 〜過小評価された社会的発見
スケープゴート・メカニズム
模倣の危機から自分たちを守るため、模倣によって、ある一人あるいはある集団をターゲットに対し、それを追放あるいは除去する。不安定な時代によく機能する。
聖なる暴力
模倣の欲望と暴力の間には密接な関係がある。復讐のサイクルは、模倣の欲望からである。人間は模倣の衝突の拡大を止めるために繰り返し犠牲に頼ってきた。人間は暴力を排除するために暴力を利用した。
一時的な平和
全ての怒りがスケープゴートに向けられることで、模倣の衝突がしばし忘れられる。暴力を追い払うために開発されたメカニズムである。古代文化にさまざまな形でスケープゴートの儀式がある。スケープゴートは無作為に選ばれることが多い。しかし、常に異質なものと認識された者が選ばれる。集団の正当性や禁忌に背くと認識される内部の者がよく選ばれる。
模倣の暴力 〜共同体のなかで発生する暴力〜
集団の暴力は常に匿名の暴力である。集団には心理的な安心感がある。「自分の責任かどうか確信がない」状態は、少なくとも当人にとっては良い守りとなる。
非難は恐ろしいまでに模倣される。酷いことをしたとして人を非難できるのは、普通は圧倒的な証拠を前にしたときだけだ。だが、極度の恐怖や混乱のなかではその基準が変わる。最初の非難が完全に間違っていても、現実の認識を変える。それは人の記憶や新しい出来事の認識に影響する。怒りは簡単に転移し、簡単に広がる。
模倣の欲望に対処するコツ 6⇨反模倣的な方法で判断する
公共な場で行う調査や投票を企画するのであれば、他の人の意見は見えないようにすることが重要だ。模倣の影響を受ける前の本当の考えに近いものを求めるのであれば、そうした方がいい。模倣の影響はとにかく強い。
自己認識・自己嫌悪
今の時代、私たちは無実の犠牲者に極めて敏感になっているので、自分たちを責めるべき不正を日々目にする。国連は世界人権宣言を公布し、全ての人に適用される基本的人権を保護した。戦争中に恐ろしい数の犠牲者が生まれたことが、宣言がつくられた大きな要因となっている。
犠牲者主義は政治、経済、精神の力を得るために、犠牲者を気遣うイデオロギーを利用する。自分の行動の優位性や正当性を得る手段として、犠牲者の地位を主張するのである。
我々は互いに正当な敵意しか抱かないので、身代わりの山羊など必要でないと思っている。にもかかわらず、身代わりの山羊は世界全体にあふれんばかりである。
パート 2 欲望の変容
第5章 反模倣的であること 〜システムではなく人を満足させる
模倣システム
ソーシャルメディアは模倣システムの代表例。模倣の欲望がこれらを支えている。ソーシャルメディアのプラットフォームにおける模倣の力が大きくなればなるほど、人々はそれを利用したくなる。
ミシュランガイド:欲望の媒介者で、幾多のシェフがそのお墨付きを求めている。「公式、非公式の規範や慣行を尊重しなければ、星を落としてしまうかもしれない。星を失うことは失敗を意味する。」ガイドブックの期待に応えるために働くようになる。
新しい考え方のモデル
私たちは自分がその一部となる欲望のシステムを複数の中から自由に選び、他のシステムとの関係のあり方を変えることができる。
第6章 破壊的な共感 〜薄い欲望を乗り越える〜
破壊的な共感とは、止まらない模倣から生まれる争いのサイクルである。恐怖、不安、怒りは模倣によって簡単に増幅する。ネガティブな模倣サイクルは、二人の人間が共感を通じて、互いを競争相手と見なすのをやめた時に破壊される。他者および自分の人間性に注目することが大切。
共感とは、他者の経験を共有する能力である。ただし、真似ることはなく、自分の人格や冷静さを失うまで共鳴することはない。共感は反模倣的である。共感できれば他の人のようにならなくても他の人と深くつながれる。
濃い欲望
濃い欲望を見つけて育めば、安っぽい模倣の欲望から身を守ることができ、最終的には今よりも充実した人生につながる。濃い欲望は、人生において変化し続ける環境に影響されない。家族と過ごす時間を増やしたいというのは濃い欲望だ。
充足の物語
濃い欲望は、育てるには月単位、年単位の時間がかかる。欲望とは社会的なものだ。私たちは一人でいるのではなく、欲望によって結ばれた関係の中に存在している。相手が達成感を覚えた経験について理解を深めれば深めるほど、互いにどのように協力しあえばいいかわかってくる。
1 ) 行動的であること
受動的に経験したことではなく、あなたが具体的に行動して、あなたが主役でなければならない。
2 ) 自分でうまくやったと思っていること
その成果が大きいか小さいかは気にする必要はない。
3 ) 充足感をもたらすこと
束の間のものではない。今でも感じられるもの。深い意味と満足感を得た瞬間が大切。
動機づけのパターン
探求する
探求に動機づけられる人は、今ある知識や経験の枠に収まらず、未知のものを見いだしたいと思う。
習得する
習得に動機づけられる人は、技能、テーマ、手順、技術、プロセスを完全に自分のものにしたいと思っている。
理解して表現する
この原動力を核に持っている人は、理解して意味を明らかにして、それからその洞察を何らかの形で人に伝えたいと思っている。
第7章 超越したリーダーシップ 〜優れたリーダーはどのようにして欲望を刺激し、形づくるのか
欲望のポジティブなサイクル
偉大なリーダーは欲望のポジティブなサイクルをつくり、維持する。そういうリーダーは他人の弱さに共感する。組織のあらゆるレベルで、相手を知りたいと思い、自分を知ってもらいたいと思う。
超越した欲望
超越したリーダーは欲望のモデルをシステムの外に持つ。超越したリーダーは経済をオープンなシステムとして見る。自分と他者のために価値を創造する。超越したリーダーである医者は、人間の身体だけではなく、その患者全部を診るのが自分の仕事だと考える。
スキル1 重力の中心を動かす
重力の中心を自分から離して超越した目標に向け、自分はみんなと肩を並べて立つようにする。良いリーダーは障害にも競争相手にもならない。率いる人たちに共感を示し、互いの関係を超越する良いものに向かって道を示す。重力の中心を自分から離していくのである。
スキル2 真実のスピード
危機的状況にある時、会社内部の脅威は過小評価される。責任を取りたくない人はスケープゴートを探す。真実に勇気を持って向き合い、効果的に伝え、すばやく行動しなければ、会社は現実についていけず、適切に反応できなくなる。企業は存続のために適応しなければならない。進化論的に言えば、真実を最速で伝える企業だけが、突然変異して生き残っていく。
スキル3 識別する力
欲望は決断でなく、識別される。識別する力は、今あるものと次に来るものの間のわずかな空間に存在する。超越したリーダーは自分の人生と、まわりの人生にこの空間を創造する。
スキル4 部屋の中で静かに座す
自発的に孤独に身を置き、正しい識別を目指す。自分が欲しいものは何か、人が自分に期待しているものは何か。沈黙とは、心のやすらぎを学ぶ空間であり、自分が何者で何を欲しているか、真実を学ぶ空間である。何が欲しいのかわからない時には、長い時間完全な静寂の中に自分の身を置くのがいちばんの近道だ。
スキル5 フィードバックを濾過する
リーン・スタートアップ
少しずつものをつくり、その途中で絶え間なくフィードバックをもらい、自分たちがやっていることを確認し、微調整していく。それは導いていることにはならない。従っているだけだ。レビューが少ない本については意見を言いたがらない。
濃いスタートアップ
フィードバックをもとにせず、濃い欲望を基礎にし、濃い欲望に導かれるプロジェクト。起業家でいることの喜びの一つは、先頭に立って導けることだ。欲望を新しい場所に連れていく。
第8章 模倣的未来 〜明日何を望むか
レイ・カーツワイル
〜 グーグルのエンジニア部門のディレクター 〜
2045年は「シンギュラリティ」に到達する年と予測。
テクノロジー企業のビッグ4はどこも人間の根底にある欲求を利用している。境遇が全て不平等である時には、どんな大きな不平等も目障りではないが、全てが斉一な中では最小の差異も衝撃的に見える。
希望とは何かを欲すること
⑴未来にあり、⑵良いもので、⑶達成が難しく、⑷実現可能なものだ。模倣のサイクルを破壊するためには、希望に値する何かを見つけなければならない。相反するものの共存は、多くの場合、私たちを正しい方向に導く標識となり、それを探ることが重要だ。欲望をつくる義務と人間関係を大切にする責任は切り離せない。欲望の変容は、自分の欲望よりも人の欲望の達成を気にするようになった時に起きる。逆説的だが、それが自分の欲望を満たす確かな道なのだ。
ルーク・バージス Luke Burgis
1981年生まれ、作家・起業家。ニューヨーク大学スターン経営大学院でビジネスを学び、ローマの教皇庁立大学で哲学と神学を学ぶ。23歳で最初の会社を立ち上げ、ビジネスウィーク誌の「25歳未満の起業家トップ25」に選ばれた。以後、ウェルネス・消費財・テクノロジーの分野で複数の会社を企業。現在は米カトリック大学で客員起業家として起業家教育を行っている。ワシントンD.C.在住。