NUDGE 実践 行動経済学 完全版

なんでもなさそうな小さな要素が人間の行動に大きな影響を与えることがある。
男子用トイレにある小便器の「黒いハエの絵」→飛び散りが80%減少

リバタリアン・パターナリズム

ナッジの前提になっている。押し付けにならない形で。

リバタリアン

自由を尊重し、それに対する干渉に反対する考え方

パターナリズム

強い立場の者が弱い立場の者の利益のため、行動に干渉すること

  
 暮らしを良くする選択を誘導するために、民間の組織と政府が自覚しなければならない。

人はよく「まずい選択」をする

=人はたくさん予測可能なミスをする

1 ) 計画の錯誤

計画を完遂するのに必要な時間を過度に楽観的に見積もってしまう傾向。

2 ) 利用可能性ヒューリスティック

事例が簡単に思いつくかどうかで、リスクの現実性を評価する。
「銃で殺された人の数」と「銃で自殺した人の数」約2倍、災害の経験、飛行機事故など

3 ) 楽観と自信過剰 利益と損失

大学教授の94%は、「自分は平均的な教授より有能」と考えている。
 人間は、非現実的なほど楽観的、人生や健康に関するリスクについては特に。
 高齢者の事故、心臓病やがん、職場を解雇、喫煙のリスク、宝くじ
失う痛みは、得る喜びの2倍。人は、損することを嫌う。レジ袋の有料化など。

4 ) 現状維持バイアス

デフォルト初期設定)の選択肢に従う強い傾向。デフォルト設定により大きな効果を生みだすことがある。デフォルトの変更は有効なナッジになりうる。

選択アーキテクト

選択の自由、選択肢の多さが最良な選択をするわけではない。
利用する人にやさしい選択環境を設計することで、人々の生活を大きく向上させられる。
 タクシーのカード払いチップ 15% 20% 25% 20% 25% 30% ご希望の金額を入力
 → 設定が高い方がチップの平均金額が上がった。ただし、0の人も増えた「リアクタンス」

フレーミング効果

「100人のうち10人が死ぬ」<「100人のうち90人が生き残る」
人に何かを促したいなら、簡単にできるようにすることが重要。

脳がもつ「ファースト&スロー」の2つのシステム

ファースト:速くて直感的に考えるシステム
スロー:遅くてじっくり考えるシステム
 人は、自動システム(ファースト)に頼ってしまう → ナッジの役割は大きい。

ナッジとインセンティブ(報酬・奨励金・褒美等)の併用

人々の生活を良いものにする能力を高められるし、社会の重大な問題の多くを解決できる。
 臓器移植問題、環境問題、LGBT問題、老後貯蓄問題など

SLUDGE(スラッジ)

ナッジのダークサイド:選択を複雑にする。サブスクの解約など
スラッジを減らすことが、行動意欲向上につながる。

著者

リチャード・セイラー(Richard H, Thaler)
米シカゴ大学経営大学院教授。1945年米ニュージャージー州生まれ。74 年米ロチェスター大学で経済学の博士号取得(Ph.D)。米コーネル大学、米マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院などを経て95年から現職。行動経済学の研究で、2017 年にノーベル経済学賞を受賞した。著書に『行動経済学の逆襲』(遠藤真美訳、早川書房)、『セイラー教授の行動経済学入門』(篠原勝訳、ダイヤモンド社)などがある。

キャス・サンスティーン(Cass R. Sunstein)
ハーバード大学ロースクール教授。専門は憲法、法哲学、行動経済学など多岐におよぶ。1954年生まれ。ハーバード大学ロースクールを修了した後、アメリカ最高裁判所やアメリカ司法省に勤務。81 年よりシカゴ大学ロースクール教授を務め、2008 年より現職。オバマ政権では行政管理予算局の情報政策及び規制政策担当官を務めた。18 年にノルウェーの文化賞、ホルベア賞を受賞。著書に『ナッジで、人を動かす──行動経済学の時代に政策はどうあるべきか』(田総恵子訳、NTT出版)ほか多数、共著に『NOISE──組織はなぜ判断を誤るのか?』(ダニエル・カーネマン、オリヴィエ・シボニー共著、村井章子訳、早川書房)ほか多数がある。

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